終の棲家について

明日はBANGKOK ART BOOK FAIRというイベントで新作を発表する若いアーティストのMM(写真左)のリクエストでBangkok CityCity Galleryという場所での60分のアンビエントセット。来週の月曜はタイ人ダンサーの主催する即興ダンスチームのワークショップでセッション。これもルンピニー公園近辺のアート系の本屋さんでやる。狙ったわけではないが、なんだか重なるもんだ。連続で本の絡み。水曜は濃い目のタイ人メンバーとジャムセッション。ライブ少ないとか書いてたら急に入って来た。でも、いきなりなんだ?って感じだよな。もっと前からスケジュール組もうよ。新しい場所や新しいお客さんの前で弾くの楽しいから全部やるけど。

守秘義務の書類にサインさせられたし、書いたところで面白いことがまったくないのでぜんぜん書いていないが毎日仕事はしている。内容的にはひたすら退屈だがビザの為だと思えばまあどうでもいいし、やったことない仕事なのでまだスキルが足りないがその辺もけっこう地味に勉強しつつやっている。長年やってきた音楽の手探りの積み上げに比べればマニュアルのある仕事はたいした苦労ではない。しっかり働いているみんなの日々の苦労も知ることができるし。

今アパートの周りは3カ月前のベビーラッシュの子猫たちが駆け回っていて目の毒だ。超かわいい。ここらは下町なのでみんなで猫や犬を可愛がるのでユルユルでぜんぜん逃げないし道の真ん中で寝こけていたりしていちいち引っかかる(笑)また猫と住みたいなぁ。緩やかに枯れていっている俺にはわずかな飯と音楽と大きい猫だけで十分なんじゃないかと最近よく思う。あとは迷惑かけずに死ねりゃいいや。

何もないな〜と部屋を見回して思う。あるのはわずかな食器と語学系の本とマイルスのインタビュー、わずかな楽器、服と靴、そしてそれを収める鞄。俺はもうほとんど死んでいるのかもしれん(笑) 以前、須磨で借りていたボロボロの広い一軒家を引き払うときに凄まじい量の物を捨てて、タイにわたる前にもかなりの物を処分した。それ以来ほとんど物が増えなくなった。引っ越しは準備を含めて1日で済むだろう。基本的に物欲もないし収集癖もない。ただ唯一、人の行き交うスペースを持ちたいとは思う。

シンプルなタウンハウスを改造したカフェバーで良い。内装は自分で全部やれるし設備は業者に頼めばいい。ここに住んで5年以上経ったので実はもうおおまかなプランはできている。入り口付近にはアップライトのピアノ、天井からアンティークの照明が吊り下がっていて昼間はピアノの上で猫が寝ている。壁にはタイのアーティストの絵や写真が飾ってある。俺は朝からコーヒーを淹れてスクランブルエッグや目玉焼きを焼いてクロワッサンやベーグルをトースターに放り込んで夕方まで緩やかに働く。

2階にはレコードショップと本屋があって窓際には心地の良い椅子がある。レコードを試聴できるしコーヒーを飲みながら本を読んでもいい。夜はBARだ。バーテンは誰かがやればいい。良い空間ができたら勝手に面白い奴が現れるはずだ。俺は酒を飲むかギターを弾くか猫と戯れている。DJは要らない。レコード屋で古いレコードが流れているからだ。週末は午後10時から0時までタイのアーティストのライブ。出演者は俺が街で見つけてくる。良い音を奏でる奴らを見つける自信があるので問題ない。いない日は自分で演るしJUNEさん呼んでもいいな。

今のところあらゆる世代と出会う機会がある。そうなるように動いているし、これから10年くらいはいけるだろう。これはその後の話だ。